景勝地と民謡

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2014年から翌年にかけての年末年始、新婚旅行でドイツに行っておりました。

ケルンからスイスのバーゼルまで、ライン川で往復するクルーズ船を利用した旅程でしたので、一般的なドイツ旅行よりは遥かにたくさんの街を観ることができ、たいへん面白い旅だったのですが、ひとつだけイマイチだったのが、ローレライの通過でした。

ローレライ - Wikipedia

ローレライドイツ語: Loreley [loːrəˈlai, ˈloːrəlai])は、ドイツラインラント=プファルツ州ライン川流域の町ザンクト・ゴアールスハウゼン近くにある、水面から130mほど突き出た岩山のことである。

この岩山は、スイス北海をつなぐライン川の中で、一番狭いところにあるため、流れが速く、また、水面下に多くの岩が潜んでいることもあって、かつては航行中の多くの舟が事故を起こした。 この「ローレライ付近は航行の難所である」ことが、「岩山にたたずむ美しい少女が船頭を魅惑し、舟が川の渦の中に飲み込まれてしまう」という伝説に転じ、ローレライ伝説が生まれた。

現在は幾度にも亘る工事により大型船が航行できるまでに川幅が広げられ、岩山の上には、ローレライセンター (Besucherzentrum Loreley) が建てられている[1]

ライン川下りは、ドイツの観光として有名であるが、ローレライ周辺は、ブドウ畑や古城が建ち並ぶ、見所の多い辺りである。また、この岩山に向かって叫ぶと木霊が返ってくるため、舟人たちの楽しみにもなっていたともいわれている[2]

ハインリヒ・ハイネの詩でも有名である。また、ヨハン・シュトラウス1世もワルツ『ローレライ=ラインの調べ』を作曲しているが、これの具体的な題材については詩なのか伝説そのものなのか明らかでない。

なんとも歴史を感じる説明ですし、皆さんも「ローレライ」と聞いて、福井晴敏の『終戦のローレライ』とかもありましたので聞き覚えのない単語ではないでしょうけど、正直なところ単なる曲がった谷です。

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で、見どころはこの「ローレライ」だそうです。

え、日本ならどこにでもありそうな、そこらのハイキングコースで案内板が出てる「猿岩」とか「ゴジラ岩」みたいなもんじゃねーか…と思いつつ、船のデッキで景色を眺めておりましたが、周りのドイツ人観光客はみんな大興奮。

船内のアナウンスも、今までこんなに丁寧な観光案内してくれたこと無かったじゃん!ってくらいにローレライについて熱く語るのです(私は英語もドイツ語もからっきしなので、半分以上は聞き取れてないのですが)。

ドイツ国民に親しまれているハイネ作詩の「ローレライ」もスピーカーから流れ、ドイツ人の郷土愛をこれでもかとくすぐります。残念ながら、私がノリノリになれるジンギスカンの「Loreley」ではありません。


Dschinghis Khan - Loreley [English Version] with Lyrics

 

考えてみれば、日本でも路線バスが観光名所に差し掛かると、車内放送で現地の民謡が流れたりすることは多々ありますが(「草津節」が流れるJRバス関東長野原支店とか)、そこまでヒートアップしませんよね?

いや、ご老人団体の観光バスだったら、そうでもないのですかね?

皆さんも一度は感じたことがあるであろう、バスガイドさんが「ここで当地に伝わる民謡◯◯節を、僭越ながら披露させていただきます」と宣言した瞬間から漂う、なんだか微妙なバス車内の空気感は、敬老会のツアーには皆無で、ヤンヤヤンヤの大拍手だったりするんでしょうか?

そういえば、初めての西欧旅行だったので「こういう客層がドイツでは普通なんだ」と思って、あまり意識していなかったのですが、今回のライン川クルーズは乗客の平均年齢が見た目70overで、30台かつアジア人の我々は、明らかに船側のターゲット層ではなかった模様。

日本に置き換えたら、敬老会のツアーに欧米人の新婚旅行客が混じってるようなものです。

そりゃ「草津節」にピンと来るはずもなし。

きっと、ドイツの若者諸氏もローレライには何の感慨も無く、単なる曲がった谷だと思ってるんでしょう。で、バスガイドの歌声に、若干の居心地の悪さを感じているのです。たぶん。

 

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ローレライ岩よりも、その下を走るドイツ鉄道のIC(Inter City)の方がまだまだ魅力的なお年頃。

 

終戦のローレライ 上

終戦のローレライ 上